看護職のお役にたてるコラムを掲載しています。
与薬は看護師の診療の補助の一つの技術であり、看護師が主に行っています。与薬による看護師の医療事故が起きやすいので、緊張しますよね。なぜ与薬による医療事故が起きてしまうのでしょうか。正しい与薬方法や過去の医療事故が起きた時の事例を見ていき、医療事故を防いでいきましょう。
観察は、患者が自分でうまく飲めたか、薬の形状は患者に合っているか、副作用が出現していないか、副作用による日常生活の影響はないか、薬剤の作用は表れているかなどです。与薬の方法は様々あります。
・注射
血管・皮下組織・筋肉などに針を刺し、薬液を生体内に注入する方法。
例:点滴、インスリン
・経口内服薬
口から薬剤を体内に入れる方法。水と一緒に胃に入れる。
例:錠剤、散剤
・口腔内薬
口腔内に薬を置いておき、口腔内の治療をする方法。
例:トローチ、イソジン
・直腸内薬
直腸に薬を直接入れる方法。
例:坐薬
・点眼薬
薬液を直接点眼することで作用させる方法。
例:抗アレルギー薬
・貼付剤
皮膚に薬剤がついているシートを張り付け、皮膚を通して体内に入った薬物が全身循環血流に乗せることで薬剤の効果を発揮させる方法。
例:消炎鎮痛薬、局所麻酔治療薬
・吸入剤
薬を霧状に噴出させ、口から吸い込み気管支や肺に作用させる方法。
例:ステロイド剤、抗アレルギー薬
・塗布・塗擦剤
薬を患部に塗ることで経皮的に作用させる方法。
例:軟膏、消炎鎮痛薬
・薬剤間違い:違う薬剤を投与してしまった
・与薬用量間違い:溶剤を指示量より多く、または少なく投与してしまった
・速度間違い:点滴の滴下速度を指示より早く、または遅く滴下してしまった
・患者間違い:Aさんに与薬する薬剤をBさんに投与してしまった
・部位違い:静脈内注射なのに筋肉内注射してしまった
・与薬経路間違い:薬剤を溶かした溶液を点滴側管から注入するものを静脈内注射してしまった
・時間間違い:朝食後服用の薬剤を夕食後に与薬してしまった
・患者が不穏状態になり、医師が看護師にその場で「ドルミカムを10ccにして持ってきて」と口答で指示を出し、看護師も「ドルミカムを10ccにして」と口答で確認、医師も「ドルミカムを10ccにして」と再度返答があった。本来、医師はドルミカム1A+生食8mlのつもりで指示を出していた。看護師はドルミカム単味を10ccシリンジにつめて持っていき、医師に渡してしまった。
看護師が最初に指示を聞いたとき、本当にドルミカム単味でよいのかと不安に思い、その場で医師に確認したが同じ返答が帰ってきたため、ドルミカム単味でよいと思ってしまった。口答指示によるお互いの認識ミス。
引用:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/1/syukei6/9b.html#jirei407
このように、緊急時には指示されたことに対して答えるのが精一杯になり、ミスが発生しやすくなります。このような事態を防ぐためには、看護師の薬剤に対する知識をつけるのはもちろん、普段のように確認を行うことが重要です。1. カプセル薬は飲みにくくてもそのまま服用するように説明する。
2. 与薬時は患者に姓名を言ってもらい確認する。
3. アンプルは注射が終わるまで残しておく。
4. 坐薬は体温程度に温めて挿入する。
2. 点眼薬は下眼瞼結膜の中央に滴下する。
3. バッカル錠は、かんでから飲み込むよう促す。
4. 口腔内に溜まった吸入薬は飲み込むよう促す。
答え ①:4
1.カプセル剤の目的は、におい・味などのために服用しにくい薬品をカプセルに充てんすることで不快感を取り除くことや、薬効の持続性を図ることです。目的を説明し、カプセルはそのままで飲めるよう工夫する必要があります。よって誤ってはいません。
2.与薬時には、十分な確認が必要です。準備した薬剤が、確かにその人に処方されたものであるか本人に氏名を確認することで薬袋と照合することが患者誤認を防ぎます。よって誤ってはいません。
3.注射器につめた薬剤の内容が確認できるように、空になったアンプルやバイアルは残しておくことが重要です。よって誤ってはいません。
4.坐薬は肛門や腟に挿入され、そこで体温程度に温められたり、分泌液によって溶解・軟化し、薬効を発揮します。坐薬は冷蔵庫で保管し、直接手で持ってはいけません。よってこれが正解です。
②:2
1.筋肉内注射は上腕では三角筋、殿部では中殿筋に行うので、大殿筋ではないため、これは間違いです。
2.点眼薬は下眼瞼を引き下げ、結膜の中央に行うのが正しいやり方です。よってこれは間違いです。
3.バッカル錠は奥歯と頬の間にはさみ、口腔粘膜から吸収させるのが正しい方法です。
4.吸入薬は気管や気管支に効果のある薬剤であり、飲み込むのは正しい方法ではありません。口腔内に溜まった吸入薬は飲み込まず、口をすすぐよう促します。よってこれが正解です。
事故は誰にでも起こしうるものなので、いかに防いでいくのかを考える必要があります。今回の内容を振り返り、もう一度ご自分の手技はどうなのかを考えてみるのも一つの事故防止策になるのではないでしょうか。
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