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コラム

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小さなミスが大きな事故に…! ヒューマンエラーを減らすためにみてほしい4つのポイント

完璧な人間はこの世に存在しないので、ミスや間違いが起こるのは当然のことです。些細なミスやちょっとした手違いはよくあることですが、医療の現場で起こると患者さんの命を脅かす大きな事故につながりかねません。そんな人間が原因のミス、ヒューマンエラーについて紹介します。

ヒューマンエラーとは

ヒューマンエラーとは、人が原因の失敗やミスのことです。

JIS(日本産業規格)のZ8115:2000では、意図しない結果を生じる人間の行為と定義されています。

医療における安全が注目されるようになったのは、1999年に米国医学研究所Institute of Medicine(2015年に全米医学アカデミーNational Academy of Medicineに改称)が発表した報告書「To Err is Human: Building a Safer Health System」がきっかけだと言われています。

医療過誤への認識を高める警告が医療機関に対し示されたこの報告書によって、患者の安全に対する取り組みが推進されるようになりました。

一方日本でも、1999年に横浜の病院で心臓疾患の患者と肺疾患の患者を取り違えて手術を行ってしまったという重大な医療事故が発生し、大きな問題となりました。ヒヤリハットから医療事故まで、人に起因するミスや失敗は医療現場でも常に起こり得るもので、未然に防ぐための取り組みは医療における重要な課題です。

ヒューマンエラーの誘因・要因

ではなぜヒューマンエラーは起こってしまうのか?ヒューマンエラーのパターンは大きく分けると2つあります。

1.してはいけないことをする…誤った操作や行為

2.しなければいけないことをしない…省略や近道行動

そのヒューマンエラーが起こる要因を挙げてみましょう。

出典:レジリエントメディカル・ヒューマンエラーの原因~人が間違える12の理由

ヒューマンエラーの原因は必ずしも1つでは無く、むしろいくつか複合して起こることが多いようです。

ただ、ヒューマンエラーはあくまでも結果であって、ヒューマンエラーそのものが原因ではありません。

背景となる要素が1つあるいは複数あり、それが誘因となってミスや事故が起こると考えられます。

ヒューマンエラーを減らす・なくすために

続いては、ヒューマンエラーを減らす・なくすための方策を紹介します。

P-mShellモデル

航空事故の分析手法としてイギリスのエドワーズ教授が1972年に提唱した「SHELモデル」を、自治医科大学教授である河野龍太郎氏が改良した「P-mShellモデル」が医療現場に特化しているとしてよく取り上げられます。

出典:レジリエントメディカル【医療安全】SHELL(シェル)分析~すべては人間の責任か?

医療現場のヒューマンエラーの分析はこの図に当てはめると分かりやすいと言われています。

ヒューマンエラー対策の発想手順

前出の河野龍太郎氏は、エラー防止の発想手順を次のように提唱しています。

1.やめる(なくす)…エラーを誘発する作業などをやめる

2.できないようにする…エラーとなるものを物理的・機械的に制約する

3.わかりやすくする…識別や手順を理解しやすくする

4.やりやすくする…整理整頓や身体的負担を軽減する工夫をする

5.知覚能力を持たせる…よりよい身体・精神状態で臨む

6.認知・予測させる…危険の予知やエラー発生の予測を促す

7.安全を優先させる…安全マニュアルの周知徹底

8.できる能力を持たせる…機器とそれを操作する人のクオリティーを上げる

9.自分で気づかせる…ダブルチェックや指差し呼称、セルフモニタリングなど

10.検出する…チェックリスト作成や患者識別の多重化

11.備える…代替手段や救助体制、事後の対応の準備などを備えておく

ヒューマンエラー防止の具体策

医療機関であれば必ず安全対策のマニュアル化などのエラー防止策が実施されています。

(例)

・安全対策室や委員会の設置

・安全対策研修やセミナーの実施

など

例えば鳥取県の社会医療法人同愛会・博愛病院の医療安全対策室では以下のような取り組みが行われています。

・フルネームの確認徹底

・ダブルチェック確認の徹底

・KY(危険予知)ミーティング

・転倒・転落など事故防止

看護におけるヒューマンエラーの例

最後に、ヒューマンエラーが原因の医療事故の具体例を紹介します。

ケース1

具体的内容

病棟薬局から上がってきた点滴を処理する際、病棟の取り決めに準じて伝票の処理を行い、投与時間・投与法・配合禁の有無・医師の個別の指示の有無を確認して伝票を処理したが、冷所での保存の確認を怠ったため24時間常温に置いたままとなり薬剤を破棄する結果となった。

背景・要因

処方箋に処理者の捺印がなかったため、おかしいなと思ったが、処方箋と薬剤の照合をせずに(薬剤保管方法については重要視していなかった)自分で印鑑を押した。今まで、点滴伝票の処理を途中で交代しても自分の印鑑を押しており、安易に確認印を押していた。

出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」

ケース2

具体的内容

看護師は心房中隔欠損根治術の器械準備を行うため、コンテナを開封したが、その際、滅菌インジケータを見落とした。そのため、未滅菌であることに気付かないまま手術に使用した。

背景・要因

タイムアウト時に滅菌されていることを確認することになっていたが、手順が形骸化していた。

出典:医療機能評価機構・医療事故情報等分析作業の現況

ケース3

具体的内容

 

ICUから帰室直後の患者さんに注入されていた薬剤が5/Hから2.5/Hに減量となり、ICUから借りてきたシリンジポンプから病棟のシリンジポンプに交換した際、2.5/Hと設定したつもりが、25/Hと設定し、アラーム音がなった。

背景・要因

声に出し設定はしたが、設定時、ポンプの数字を逆から見て設定してしまった。

出典:厚生労働省・重要事例情報-分析集

  

医療事故防止の最後の防護壁と言われる看護職。

ヒューマンエラーをいかに減らすかも医療従事者の永遠の命題なのかもしれません。

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