看護職のお役にたてるコラムを掲載しています。
2015年10月に施行された「特定行為に係る看護師の研修制度」により、看護師が医師作成の手順書のもとで一定の診療の補助が行えるようになりました。看護師の業務上の判断と行為の範囲が大きく広がる可能性があるこの制度ですが、まだまだ認知度が低いようです。今回は、看護師さんのスキルアップの新しいカタチである「特定行為を行える看護師」について紹介します。特定行為研修の内容や研修制度の現状、メリットなどを詳しく見ていきましょう。
出典:厚生労働省・特定行為に係る看護師の研修制度の概要
特定行為に関わる看護師の研修制度の趣旨は、上記のように記されています。2025年、つまり「団塊の世代」が後期高齢者(75歳)に達するこの年、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎えます。その2025年に向けて、人手不足が予想される医療従事者の底上げを図るのが狙いとも言われています。
臨床病態生理学や特定行為実践をはじめとした7つの共通科目(合計315時間)と、呼吸器関連や循環器関連をはじめとする21の区分科目(合計766時間)を受講しなければなりません。
その期間や時期、受講要件や受講できる科目などは研修機関によって違うので、研修を希望する機関のホームページなどで事前に確認しておきましょう。
一部では「特定看護師」といった名前で呼ばれているようですが、正式な名称ではありません。
例えばJADECOM-NDC研修センターでは「特定ケア看護師」といったように、研修機関や団体によっては個別の呼称を設けている場合もあります。
・募集期間…2019/4/22~5/10
・審査…一次(書類審査)5/27・二次(小論文・面接審査)6/12
・研修日程…9月~3月(全講義の約半分が遠隔授業のeラーニング)
・研修内容…科目により7つのモデルコースから選択
・受講資格…日本看護協会の認定看護師資格が必要
・審査料…30,000円
・受講費用…コースごとに設定40万円~70万円
厚生労働省発表の「【特定行為に係る看護師の研修制度】研修を修了した看護師について」によると、研修修了者の総数は1205名。(2018年9月末現在)
制度の発足時に厚生労働省が想定していたのは「2025年度までに10万人」でしたが、研修修了者数は伸び悩んでいます。
まだまだ認知度が低いこともその要因ですが、雇用する病院や施設のメリットが未知数なことも一因ではないかと言われています。
研修修了者を揃えた病院への一般の評価が上がり、診療報酬につながるといったことがあれば、病院・施設も雇用に前向きになったり、待遇面での優遇を打ち出したりするのではないでしょうか?
研修を修了することで、今まで医師が行ってきた医療行為のごく一部を、研修を終了した看護師が医師の手順書に基づいて行えるようになります。
病院や医師にとっては、タスクシフティングで業務の迅速化や医師不足の対策になります。
また、看護師にとっては医療・看護チーム内での影響力や発言力が増すといったメリットが考えられます。
もちろん、研修終了者の存在が医療現場での効率化につながるなど、成果の上がっている病院や施設では、給与面などでの優遇もあります。
今後研修修了者が増えその存在意義が高まれば、就職・転職の際に有利になるといったことも考えられます。
まだ始まったばかりの特定行為に係る看護師研修制度。開業医や小規模な診療所ではそのスキルはあまり必要とはされませんが、訪問看護ステーションや介護施設などでの在宅医療・看護の現場では大いに活躍が期待できるのではないでしょうか?
認定看護師や専門看護師などの資格と並んで、看護師スキルアップやキャリアップのために有意義なこの研修も一考の余地ありです。
看護求人ガイドは、アスカグループの運営する転職をお考えの看護師のための求人サイトです。看護師さん向け求人を中心に、「こだわり条件で選ぶ求人システム」「看護師さん向け情報」など、看護業界にまつわる情報をわかりやすくご紹介しています。看護師の求人以外にも多彩な情報を随時掲載しています。これから看護師の仕事を目指す方、現在看護師として活躍中で転職希望の方、など様々な方をサポートします。当サイトのサービス、機能、求人・転職情報は全て無料。看護求人ガイドは看護師さんを中心とした看護の専門求人サイトです。みなさんの転職・就職活動に、ぜひ看護求人ガイドをご利用ください。