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コラム

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これからはアドヒアランスが主流! 理解するための6つのポイント

患者さんが治療を受ける姿勢を表す言葉として、コンプライアンスがありますが、近年そのコンプライアンスに変わる言葉としてアドヒアランスがよく使われるようになってきました。特に服薬治療において頻繁に使われるアドヒアランスを、よりよく理解するためのポイントを紹介します。

アドヒアランスとは

アドヒアランス(Adherence)本来の意味は、「固守」や「執着」、「忠実」で、医療の現場においては「患者さんが治療方針を理解し同意したうえで積極的に治療を受ける」といったことを意味しています。 服薬治療に関して用いられることが多く、服薬アドヒアランスとも呼ばれますが、単にアドヒアランスで服薬に関する評価法を指す場合もあります。 アドヒアランスが登場する以前に使われていたコンプライアンスの考えを改善した治療における評価法とも言えるのがアドヒアランスです。

コンプライアンスとの違い

アドヒランスとはどういったものかを、同じような意味で使われていたコンプライアンスと比較して紹介します。コンプライアンスもアドヒアランスも、医師や薬剤師、看護師の指示や指導に従って服薬治療を行うと言う点では同じです。ただ、コンプライアンスは医療従事者から一方的な指導をし、患者さんはそれに従うだけであったのに対し、アドヒアランスは患者さんが自分の病気を理解し、治療や服薬方針を受け入れ主体的に参加するという意識を持つという部分で大きく異なります。コンプライアンスは医療従事者からの一方的指導であり、アドヒアランスは医療従事者と患者さんとの相互理解に基づく治療と言えるかもしれません。

出典:日本ジェネリック製薬協会JGAニュース2017年12月116号知っ得!豆知識

アドヒアランスを向上させるために ①患者編

アドヒアランスがうまくいかない、つまり服薬治療が順調に進まないと、治療効果を正しく評価できなくなり、場合によっては副作用が想定より大きくなることもあります。 さらに、思った通りの治療効果が見込めず、治療期間が延びて患者さんへの身体的負担や経済的負担が増すこともあります。 アドヒアランス低下の弊害となる問題点とその解決策を6つ紹介します。

無関心

薬剤の用量や用法について患者さんの関心が薄いと、濫用による依存症や強い副作用の恐れがあります。 用法・用量を守らない場合のリスクを理解してもらえるように説明することが大事です。

疾病の重要度を軽視

病気に関して楽観的な患者さんは、自己判断で服薬をやめてしまう、あるいは飲んだり飲まなかったりしてしまう場合があります。 疾病に関する情報をしっかり理解してもらうことで対処しましょう。

経済的懸念

治療薬には高価なものもあり、長期の治療となれば経済的に圧迫されることもあります。 既に服用しているものなども含め、不要なものを減らしたり比較的安価なジェネリック薬にシフトしたりといった見直しも必要です。

服薬指示・指導への誤解

用法や用量、薬効や副作用を患者さん自身が誤解してしまった場合にも服薬エラーが起こります。 患者さんに正しく理解してもらえるまで、繰り返し説明しましょう。 効果や効能に不信感や不安を覚える患者さんに対しても同様です。

物理的困難

錠剤が大きすぎるため嚥下しづらいという患者さん、粉末の散剤は飲みにくいといった患者さんには、薬剤を小さくしたり形状を変更したりといった対応が必要です。 匂いや味に不快感を訴える患者さんには、同程度の薬効がある薬剤を再検討しましょう。 また、種々の事情で薬剤を受け取ることが難しい患者さんには、薬の配達を行う調剤薬局を紹介するなどの対処が考えられます。

頻回投薬への嫌悪

点滴投与の回数が多く面倒、たくさん服薬しなければいけないので飲み忘れてしまうという患者さんも少なくありません。 個々の事情を理解し、患者さんが取り組みやすい服薬治療計画を提案しましょう。

アドヒアランスを向上させるために ②医療従事者編

一方、医師や看護師、薬剤師など医療従事者側のアドヒアランスを阻害する問題点はどういったことかを紹介します。 医師や薬剤師などの服薬する薬剤に関する問題としては、指示間違いや指示忘れといったヒューマンエラーが起こらないようにすることが大切です。 そして、患者さんの服薬治療を現場で実際にサポートする看護師さんのアセスメントが重要になります。

アセスメント

服薬や治療に関する説明・指示が綿密に正しく行われることは当然ですが、実際に服薬・治療を行って発見した問題点を分析評価することが重要です。 「なぜ飲まなかったのか?」や「どうして飲みすぎてしまったのか?」など、アドヒアランスを低下させる問題点を、患者さんの行動や発言、バイタルチェックなどから探りだし、問題解決のための対策を考えましょう。

アドヒアランスを向上させるために ③患者・医療従事者編

 

患者さん、医療従事者それぞれのアドヒアランス向上のための対策を紹介しました。しかし、どちらか一方が真剣に取り組んでいても、もう一方との温度差があると服薬治療がスムーズに進まなくなる場合があります。指示・指導するだけで実際の服薬を患者さん任せでは、アドヒアランスとは言えません。薬剤の効能や副作用の説明はもちろんのこと、患者さんのQOL(生活の質)を重視した治療・服薬計画を提案し、患者さんの意見や要望をヒアリングしたうえで双方が納得できるプランを作り上げましょう。そうすることで患者さんとの信頼関係が生まれ、服薬の意義をよりよく理解し服薬への意欲も湧いてきます。

アドヒアランスを取り入れた服薬の仕方

最後に、アドヒアランスを向上させるための具体的な対策を3つ紹介します。

薬剤の見直し

重複する効能の薬剤を減らしたり、飲みやすい形状のものに変更したりするなど、患者さんが服薬しやすいように見直す。

薬剤管理

いつ飲めばいいかが一目でわかるボックスや、効能別に仕分けて収納できる箱を作製する。

自主管理薬箱(ウィークリーメディ)

アラーム

服用時間にアラームが鳴るようにセットしておく。 自宅療養者の場合、同居家族などに服薬指示をしてもらう。 どれほど素晴らしい薬も間違った使い方をすれば効果が無いばかりか、患者さんの身体に負担をかけてしまうこともあります。 服用の仕方や効能を伝えるだけでなく、服薬することの意義もしっかりと伝えてアドヒアランス向上を目指しましょう!

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