看護職のお役にたてるコラムを掲載しています。
大きなケガをしてベッドに寝たまま立ち上がることもできない…
入院が長期化してイライラする…
検査をしても不調の原因が分からず不安…
入院している、あるいは通院などで外来を訪れる患者さんの多くはストレスを感じています。そんな患者さんのストレスをうまくコントロールすることで、治療をスムーズに行えるようにするのも看護の一環です。今回は、患者さんのストレスへの対処法であるストレスコーピングの基本情報から、看護アセスメントへの応用などを紹介します。
・問題焦点型…ストレス因子である事柄や人物に直接働きかけ問題解決を目指す
・情動焦点型…ストレッサーによって与えられた感情をコントロールすることで緩和を目指す
・ストレス解消型…気晴らしやリラクゼーションでストレスの発散を目指す
◇ストレッサー
隣のベッドの患者さんが詮索好きで、治療や経過についてアレコレ聞かれる
テレビの音や話し声が気になって眠れない
◇ストレス反応
睡眠不足
イライラ・血圧の上昇
◇看護ケア
ベッド位置を変える・病室を移す
病室内でのマナーの徹底を各患者に説明
◇ケア後の評価
ある程度プライバシーが守れる環境になったことで安心した様子
心理状態が安定することで血圧も低下した
◇ストレッサー
手術の際や術後の痛みへの不安
術後の入院生活が長引くのかといった不安
◇ストレス反応
食欲減退
睡眠不足
◇看護ケア
手術に関する説明を行う(共感的態度で接する)
スタッフ間の情報交換を密にし、言動を統一する
◇ケア後の評価
手術に関する説明で痛みへの不安はやや解消し、食欲はおおむね回復
手術そのものや術後への漠然とした不安は継続中で、睡眠不足は変らず
◇ストレッサー
長期の入院でストレスフル
リハビリが思うように進まず不安
◇ストレス反応
イライラ
治療に消極的
◇看護ケア
一時帰宅でリフレッシュしてもらう
リハビリの合間に軽いゲームなどでストレスを緩和
◇ケア後の評価
一時帰宅後はイライラもやや収まってリハビリに意欲
積極的にリハビリに取り組めるようになり大きく進展
ストレス反応の有無やその程度から、ストレス状態なのかどうかを判断するための観察が必要です。
たとえば、病棟内の環境がストレス因子であれば、環境の改善を検討するといった具合です。
ストレス反応による身体的・心理的不調を医師の回診の際に伝えるように指導したり、家族ならではの支援の仕方をレクチャーしたりといったことが考えられます。
治療や患者さんのお世話だけでなく、患者さんのストレスを察知し、解消・緩和することも大事な看護ケアです。早期回復に不可欠なストレスコーピングをしっかり行いましょう。
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