看護師も患者も負担を減らせる!ボディメカニクスの8原則
「患者さんの介助が大変」「もっと楽にケアしたい」と思ったことはありませんか?たった8つのことを意識すれば、体の使い方を変えるだけで、介助する側・される側の双方の負担を減らせることができると期待されています。介助から生じる腰痛や肩こりなどの不調を改善することができれば、看護師さんや介護福祉士さんは、さらに働きやすくなるでしょう。それでは、ボディメカニクスの8原則をおさえていきましょう!
そもそもボディメカニクスとは?
意味
「ボディメカニクス」とは、人間の体を力学的な視点でとらえて、ものや人をスムーズに動かすことや、支えることを指します。人やものを安定して動かしたいときには、重要になってくるでしょう。
役割
ボディメカニクスの役割は、ものをもって運んだり、人を支えて移動したりするときの負担を軽減することでしょう。
看護師なら知っておきたい「ボディメカニクスの8原則」
看護師や介護福祉士など、人を介護・看護することに携わる方々は、ぜひ「ボディメカニクスの8原則」を習得して、日々のお仕事に活用してください!もちろん、仕事の面だけでなく、生活の面(介護や育児など)でも活用できますよ!品川区公式チャンネル「しながわネットTV」に、「介護 ボディメカニクス 起き上がり」という動画がYoutubeにアップされています。ボディメカニクスを活用した実用例ですので、気になった方はぜひご覧ください。
1.相手を移動させる前に、自分との重心を近づける
相手と自分の体を近づけさせ、密着させると、相手を支えて移動するときにとても楽になるそうです。理由として、作用点と力点の距離が近ければ近いほど、より少ないエネルギーで動かせるからだといわれています。
2.相手の体を小さくまとめる
相手の体が広がっている状態(四肢が伸びている状態)よりも、まとまっている状態(うでを組む、ひざを曲げるなど)のほうが移乗や歩行などを行いやすくなります。
3.支持基底面を広くとる、自分の体を安定させる
支持基底面とは、何かを支える際に基礎となる底の面積のことです。支持基底面が広いほど、より安定します。そのために、ものを持ったり、人を支えたりするときは、足を広げて行うと良いでしょう。例えばコップであれば、底の面積が小さいものよりも、広いほうが安定するのと同じです。人であれば、足を閉じて立つよりも、左右前後に広げた方がより安定することができるからです。
4.重心を下げて骨盤を安定させる
腰から曲げるのではなく、ひざを曲げて重心を下げることで、腰痛を軽減させられるほか、骨盤を安定させることによって、安定して移動や運ぶことができると考えられます。
5.体はねじらない、肩と腰を平行に保つ
体をひねったり、ねじったりするとバランスを崩し、腰痛の原因となります。体の負担を減らすということで、肩と腰を平行にするのが良いとされています。
6.全身を使い、水平に移動する
うで、腰など体の一部のみを動かすよりも、体全体を使ったほうが、より安定します。さらに、持ち上げる動作よりも水平に移動させるほうが重力に逆らわないため、少ない力で動かすことができます。
7.相手を押すのではなく、引いて動かす
押すと力が前方に分散されてしまいますが、相手を引くことにより、力が分散されにくくなるといわれています。
8.てこの原理を利用する
てこの原理(支点・力点・作用点の関係性)を意識して利用すると、日々の動作がスムーズに行うことができるかもしれません。
実際どうなの?
ボディメカニクスを意識して看護や介護を実際に行った場合、どう変わるのでしょうか。この項目では、活用例と、使用する際の注意点、メリットを挙げていきます。
活用例
~ベッドから椅子への移乗~
~寝返り(褥瘡予防)の体位変換~
ポイントは、
・重心を低くすること
・支持基底面を広くとることを特に意識することです。
注意点
ボディメカニクスを活用するときは、介助する側だけでなく、介助される側の協力も重要とされています。お互いの力を出し合うことが理想ではありますが、相手側の病状や状態によってできないこともありますので、判断が難しいところです。
メリット・デメリット
看護・介護の現状を改善できるかも!?
介護や医療現場では、介助する側の負担が大きく、腰痛になりやすいという現状があります。腰痛により、看護師や介護福祉士をやめてしまう人も少なくないでしょう。
ボディメカニクスを意識して介助を行うことで、体位変換や歩行、移乗などによる体の負担が減るかもしれません。もし、腰痛やひざの痛み、肩こりなどの不調が改善されれば、身体的な要因でやめることはなくなり、長く務めることができるでしょう。
ボディメカニクスの8原則を利用して、無理のない看護・介護をしていきませんか?