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日本人の死亡原因第4位「肺炎」に繋がる誤嚥。その背景には、摂食嚥下障害があり、高齢者によくあることだといわれています。食事の動作がスムーズでなかったり、飲み込みづらかったりする患者さんは、もしかしたら摂食嚥下障害の可能性があります。今回は、摂食嚥下障害の意味や内容、ケアのやり方や摂食嚥下障害ケアにかかわる資格などについて紹介します!
表:厚生労働省「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況 第7表」のデータを参考に作成
誤嚥による肺炎のことを「誤嚥性肺炎」といい、高齢者になるほど、肺炎で死亡する比率があがっています。誤嚥の前提として、摂食嚥下障害があります。東京都医師会では、「摂食(eating, ingestion)=人間の基本的行為として食物を摂取すること」「嚥下(swallowing, deglutition)=食塊(bolus)を口腔から胃へ送り込む一連の蠕動運動のこと」と紹介しています。
(引用:東京都医師会『介護職員・地域ケアガイドブックp175~216第6章「口腔ケアと摂食・嚥下障害」』)
この「食べる」という一連の動作に障害があることを、摂食嚥下障害といいます。上述した「誤嚥」は、摂食嚥下障害の一つです。・歯の欠損
・舌の運動機能低下
・唾液分泌の低下
・口腔感覚の鈍化
・味に対する感度の低下
・咀嚼能力の低下
・嚥下機能の低下
など1.器質的原因:舌炎、口内炎、喉頭がん、食道炎など
2.機能的原因:脳卒中、脳腫瘍、パーキンソン病、筋萎縮症など
3.心因的原因:うつ病、神経病、ストレス性胃潰瘍・胃炎など
□ 食事中にむせる
□ 食べるのが遅くなった
□ 食事中・食後に咳やたんが出る
□ 食べ物が飲み込みづらい
□ 食後に声がかれる
□ 熱が出ている
□ 体重が減ってきた
以上の項目に当てはまるときは、摂食嚥下障害の疑いがあるため、注意が必要です!重度の摂食嚥下障害の疑いがある場合は、検査(嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査など)が行われます。
◎患者さんの横に座り、目線を同じ高さにする
⚠立って食事介助をすると、患者さんは上を向いてしまい、誤嚥しやすくなります!
◎スプーンはまっすぐ引き抜く(スプーンの背は下唇につける)
⚠上唇にすりつけるように抜くと、顎が上がってしまい、むせやすくなります!
◎飲み込みの確認をする
⚠なかなか口を開けないときは、まだ飲み込めていない可能性があるので、
喉ぼとけが上がって飲み込んだことを確認しましょう!
◎声かけは適切に
⚠話しかけすぎると、それに答えようとしてむせたり誤嚥したりしやすくなります!
~口腔観察のポイント!~
①口腔内に傷や出血、腫れなどはないか
②乾燥していないか(唾液の状態)
③口の開き具合はどうか(開口の拒否、どのくらい開けていられるかなど)
④歯の様子はどうか(ぐらつく歯はないか、入れ歯の状態など)
⑤汚れはあるか(汚れの場所、どのような汚れか)
⑥うがいはできるか
など
~食べづらいもの~
(あ)粘度の強い食べ物、もちもちしたもの(ex:もち、団子)
→のどに詰まらせやすい。
(い)噛み切りにくいもの(ex:いか、たこなど)
→飲み込めず、むせやすい。
(う)液体、さらさらしたもの(ex:スープ、水など)
→飲み込む前に機関に入りやすい。
(え)のどにはり付きやすいもの、ぺらぺらしたもの(ex:のり、わかめなど)
→のどの奥にはりついてしまう
(お)水分の少ないもの、ぱさぱさ・ぼろぼろしやすいもの(ex:ご飯粒、パン)
→口の中でまとまらず、ばらけてむせやすい。
~食べやすくする方法~
(あ)水分を加えて粥状にする
(い)繊維を断つ切り方にする
(う)とろみをつける
(え)和える
(お)水分や油脂を加える
摂食・嚥下障害看護認定看護師は、主に3つの役割があります。
(1)摂食嚥下機能と摂食嚥下障害の評価
(2)誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防やリスク管理
(3)摂食嚥下機能の評価結果に沿った適切で安全な摂食・嚥下訓練や支援
摂食嚥下障害をケアすることで、食べることが楽しくなり、患者さんのQOL(生活の質)を向上させる働きがあります。
口腔ケアのポイントや、嚥下しやすい食べ物などを覚えて実行してみれば、肺炎を起こすリスクを減らせるかもしれません。
また、摂食嚥下障害に気づくことで、がんや脳卒中などの疾患を早期発見することができる可能性が高まります。食事介助の時は、この記事をぜひ思い出してみてくださいね!
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