看護職のお役にたてるコラムを掲載しています。
看護師さんの中には、残された時間がわずかである患者さんを、担当したことがある人もいるでしょう。「がんや認知症、パーキンソン病などの疾患で、苦しんでいる患者さんの心に寄り添いたい」「穏やかで安心できる最期を迎えてもらいたい…」と、心当たりがある看護師さんもいらっしゃるのでは?急性期には急性期ならではの治療方法があるように、ターミナル期(終末期)にはターミナル期で有効なケアの方法があります。ここでは、ターミナルケアの意味、ターミナルケアの方法や流れ、ケアの内容、問題点のほか、ターミナルケアを専門的に深めたい看護師さん向けの資格をご紹介します。
ターミナルケアとは、患者さんや高齢者などの方々が、ターミナル期を尊厳を失うことなく自分らしく過ごして、最期を迎えられるようにするケアのことです。
ターミナルケアは、疾患を治す、いわゆる「延命治療」ではありません。残された日々を充実し、穏やかに送れるようにすることが目的だといわれています。特別なことをするわけではなく、日々のケアの延長線であると考えられます。
最期の時を満足して迎えられるために、看護師だからこそできることは何でしょうか。この項目では、ターミナルケアの流れやケアの内容を紹介していきます。
①身体的ケア(痛みの緩和、清拭など)
気持ちよく過ごすために、身体を清潔な状態に保つことが大切です。
そのために、患者さんの身体をきれいに拭いたり、褥瘡を防ぐために体位を変えたりします。
他にも、身だしなみを整えたり、病気による身体の痛みを和らげたり、食事が困難になった場合の点滴などをしたりすることもあります。
②精神的ケア(心のケア)
患者さんの死に対する不安や恐怖、ストレスなどを取り除くことが主なケアとなるでしょう。
患者さんが満足できるよう、ベッド周りに患者さんの思い出の品を置いたり、患者さんのお話をよく聞いたりすることが大切だといわれています。不安を和らげるために、患者さんに「独りではない」と感じさせ、患者さんの心に寄り添うことが、看護師さんの役割となるでしょう。
③社会的ケア(金銭面)
ターミナルケアを行うには、費用がかかり、患者さんとご家族にどうしても負担がかかってしまいます。その負担を軽くするために、看護師さんは、医療ソーシャルワーカーのような他の医療スタッフと患者さんの橋渡しをする役割を担うことができるでしょう。
コミュニケーションを怠らず、しっかりとした対応をすることで、精神的な負担も軽減することができるかもしれません。
~ナラティブ・セラピーについて~
ナラティブ・セラピー(ナラティブ・アプローチ)の意味、内容、やり方を説明する
ターミナル期の患者さんとのコミュニケーション方法として、 「ナラティブ・セラピー(ナラティブ・アプローチ)」というものがあります。
ナラティブ・セラピーとは、 患者さんに、患者さん自身が伝えたいことを物語のように話してもらう方法だそうです。
自分のことを覚えておいてほしい…
そんな患者さんの切実な願いを、サポートできるでしょう。
患者さんの意思とそのご家族との意向を、前もってしっかり合わせることが重要です。
これは、患者さん本人が悔いのない最期を過ごせるようにするためでもあり、
また、残されるご家族のためでもあります。
双方の思いを合わせていない、もしくは分からない状態だと、
「あの時もっと話しておけば…」と後悔するかもしれません。
そのような事態を避けるためにも、患者さん、ご家族とよくお話しする必要があるでしょう。
患者さんのつらい様子をみていると、「逃げたい」「かかわるのが怖い」という感情を持つこともあるでしょう。
「逃げたい」と思っても、できる限り患者さんに寄り添うことが大切です。
”死”にかかわる看護師さんにとって、ストレス・悲嘆は大きな問題となっているようです。
ストレスや燃え尽き症候群(バーンアウト)により、ターミナルケアを続けていくことが困難になっていくことも多々あるといわれています。
ターミナルケアを続けていくには、ケアしている患者さんやご家族からの「癒し」が重要となってきます。よりよい相互関係を築くためにも、しっかり患者さんと向き合い、ケアしていくことが大切です。
(参考:『ターミナルケアに携わる看護師の態度と悲嘆・癒しとの関連』大西奈保子、東洋英和大学院紀要、2006)
ターミナルケアをより深く理解したい方、専門的な知識やスキルを向上させたい方もいらっしゃるでしょう。
そんな方のために、ターミナルケアに関する資格や講座をご紹介します。
終末期ケア専門士とは、終末期のケアを専門的に行い、終末期の患者さんを”支える”スペシャリストです。
実務経験を証明する機関・施設は、ホスピスや終末期ケア専門である必要はないとのことです。雇用形態に関して、常勤・非常勤どちらも受験可能となっています。
終末期ケア専門士には、上級もあります。上級では、組織の運営やチームマネジメントなどの”育成”へとステップアップできるそうです。
詳しくは「一般社団法人日本終末期ケア協会HP」をご覧ください。
多種職との連携が多いターミナルケアを行ううえでのリーダーを養成する講座です。理論・知識や実技のカリキュラムがあり、幅広くターミナルケアについて学ぶことができるでしょう。
講座の対象者は、医療、福祉などの専門職で、ターミナルケアの指導者を目指す方だそうです。詳しくは「一般社団法人知識環境研究会[教育会]」をご覧ください。
ここでは、上記2つの資格、講座をご紹介しましたが、他にも多くの資格、講座があるでしょう。特に、講座で実践的に学ぶことは、独学で効率的にもっとターミナルケアを学びたい方にとって、うってつけの勉強法なのではないでしょうか?ぜひ、参考にしてみてください!
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