看護職のお役にたてるコラムを掲載しています。
海外では死亡した後に臓器や組織の移植をすることが多いのですが、日本は例外で、生きている人の臓器を必要としている人に移植することが多い…このような事実を知っていましたか?心臓や肺などの臓器移植、角膜や骨などの組織移植に携わる看護師さん、これから移植ケアなどに関わりたい看護師さんは、ぜひ読んでみてください!ここでは、移植医療の意味や分類、課題、現状やメリット・デメリット、移植対象の臓器、看護師が移植医療で抱える悩み、看護師の役割などをご紹介します。
(図)広島大学大学院 医系科学研究科 「消火器・移植外科学」から
ドナーの臓器を、レシピエントの臓器が摘出された場所と同じところに移植することを「同所性臓器移植」、異なる場所に移植することを「異所性臓器移植」といいます。現在、移植医療は、「臓器移植」と「組織移植」の2つに分かれます。血液型が違っていても、移植医療を受けることができます。
①死体臓器移植
②生体臓器移植
ご健在の方、ご家族からの臓器提供を受けます。※ドナーになれる方は、法律によって定められています。 気になる方は「日本移植学会倫理指針」「臓器の移植に関する法律」で、ご確認ください。一方、心停止して死亡した心臓死の場合、「腎臓」「膵臓」の2つが移植可能だそうですが、事前に処置が必要となります。組織とは、皮膚、骨、膵島(ランゲルハンス島)、心臓弁、血管、角膜などの身体の一部のことです。
(※「角膜」は組織移植です)
理由として、(1)ドナーが足りない、(2)提供施設数が少ないことをあげています。
(参考:「日本移植学会 臓器移植ファクトブック2018」)
ここでは、アメリカとの比較のみですが、ほかの臓器移植が盛んな国でも、生体臓器移植よりも脳死後臓器移植のほうが多いといわれています。日本は世界的に見ても例外であるといえます。冒頭でも記載したように、日本で生体臓器移植が多い理由にもつながってくるでしょう。以上の課題解決のために、今よりももっと移植医療について広める「普及啓発活動」や、そもそも病院内の体制を変える「院内体制整備事業」が大切であるそうです。
~看護師が直面する課題~
看護師は、移植医療で以下のような課題に直面します。(ア)意思決定支援
(イ)多職種との連携
移植医療は、臓器や組織を提供するドナーと、提供されるレシピエントという立場が異なる者同士がつながることで成立します。ドナーは、脳死か心停止(心臓死)の状態(生体臓器移植を除く)であり、レシピエントは、臓器・組織の機能が著しく低下しており、近い将来死亡する確率が高まるか、QOL(生活の質)がとても低いでしょう。ドナー本人の意識がない状態では、そのご家族が代理として、意思決定をすることになります。そのような状況下において、看護師は重要な役割を担うことになるでしょう。
多職種間の連携がとれていないと、意思決定の十分な支援ができないのではないでしょうか。他の医療スタッフとの対立を恐れて、発言や提案ができなくなることがあるといいます。患者さんやご家族のためにも、それぞれの職種の専門性が発揮されることが大切です。
移植医療を提供するにあたり、看護師さんも思い悩むことはあるでしょう。ドナーやレシピエントの家族、他の医療スタッフに挟まれてつらい思いをすることも多々あるのではないでしょうか?
『臓器移植における倫理的な看護場面での看護師の苦悩―1事例の分析を通して―』(林 優子,谷水 名美,赤澤 千春,山浦 晴男,2013年)では、6つの看護師の苦悩を挙げています。
その6つの悩みを、簡単に紹介します。移植医療もまた、チームで医療を提供します。その医療チームの職種の中に「移植コーディネーター」があります。移植コーディネーターは、移植医療をするときに、ドナー(提供者)とレシピエント(移植者)の仲介・調整などを行います。移植医療をスムーズに行うために、必要な役割といえます。
看護師との明確な違いは、看護や医療行為をするか否か、でしょう。しかし、移植コーディネーターは不足しているため、看護師や医師などの医療従事者が、移植コーディネーターの役割を担うことも多いです。上記の理由から、移植コーディネーターは、看護師資格を取得している方が多いため、現役看護師さんも目指しやすい資格だといえます。
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