看護職のお役にたてるコラムを掲載しています。
「保健(室)の先生」と呼ばれる養護教諭は、人気の高い職種です。その仕事の特性上、看護のスキルが求められることが多く、看護職からの転職も多いようです。そんな養護教諭にはどうしたらなれるのかといったことや、その仕事内容やメリット・デメリットなどを紹介します。
養護教諭とは、小学校や中学校、高校などで生徒や教職員など学校内の人々の健康管理や衛生面の管理など、学校内の「保健」を管理する教員のことです。養護教諭として働くには「養護教諭免許」が必要ですが、大学や短大などの所定の科目を修了すれば免許を取得することができます。
養護教諭の主な仕事は、生徒の健康管理や保健指導です。 ケガや病気、体調不良などで保健室を訪れる生徒への対応はもちろんですが、定期的な健康診断や健康調査、病気やケガの予防指導など生徒たちの健康面をサポートします。 他にも、校内の環境や衛生面の管理や、保健や性教育の授業を実施します。 例えば、健康診断のデータを整理して問題の見つかった生徒や教職員への指導、保健だよりの作成などの業務や、喫煙や薬物を防止する啓もう活動を行います。
7:45 | 出勤 |
8:00 | 職員会議 |
8:15 | 朝礼 |
8:30 | 午前の業務 |
9:00 | 生徒対応や書類の整理など |
12:00 | 昼食 |
12:30 | 昼休み・保健室解放 |
13:15 | 午後の業務 |
15:15 | 清掃指導 |
16:00 | 部活動や委員会活動の指導 |
17:00 | 下校指導 |
18:00 | 退勤 |
4月 | 身体測定 |
5月 | 春の健康診断 |
6月 | 歯科検診・プール水質検査 |
7月 | 夏休みに向けての健康相談 |
8月 | 部活動指導 |
9月 | 防災訓練 |
10月 | 修学旅行に帯同 |
11月 | 眼科検診 |
12月 | 内科検診・大掃除 |
1月 | インフルエンザ対策パンフレット配布 |
2月 | AED講習会 |
3月 | 薬物・喫煙防止講習会 |
続いては、看護師資格を持つ人が養護教諭になる方法を紹介します。
既に看護師免許を取得済みであれば、文部科学省認定の指定教員養成機関で所定の単位を取り卒業することで、養護教諭免許が取得できます。
機関名 | 修業年数 |
北海道教育大学 | 1年 |
山形大学 | 1年 |
新潟大学 | 1年 |
金沢大学 | 1年 |
岡山大学 | 1年 |
熊本大学 | 1年 |
富山県立総合衛生学院 | 1年 |
機関名 | 修業年数 |
横浜高等教育専門学校 | 2年 |
大学や短大の教育学部に設置されている養護教諭養成課程で一から学びなおすといった選択肢もあります。 終了した養成校の種類によって一種免許状(4年制大学卒)・二種免許状(短期大学卒)・専修免許状(大学院修士課程卒)の3種類がありますが、職務の違いはありません。 養護教諭一種免許を取得できる大学は全国に135校あり、養護教諭ニ種免許を取得できる短期大学は10校、養護教諭専修免許を取得できる大学は62校あります。 また、通信で養護教諭一種免許を取得することができる大学も4校あります。 (平成31年4月現在)
養護教諭免許を取得できたら、入職を希望する学校の採用試験に合格しなければなりません。 公立学校の養護教諭は特に人気が高く、その倍率は7~8倍と言われています。 少子化の影響で採用人数は年々減少傾向で、私立学校も狭き門だと言えそうです。 ちなみに、2020年度の教員採用試験の志願状況では、東京都の養護教諭の募集人員80名に対し886名の志願者があり、18倍という高い競争率となっています。
次に養護教諭の給料について紹介します。 厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると… 公務員である高等学校教員の平均月額給与は418,100円です。 ちなみに看護師の平均月額給与は331,900円なので、それよりも86,200円も高い額となっています。 賞与を含めた年収ベースで比較すると、高等学校教員は6,634,100円で看護師は4,799,300円で、1,834,800円もの差があります。 前述のとおり、養護教諭には一種と二種、専修があり、その職務はほとんど同じですが、給与には差があることが多いようです。 これは、免許による違いではなく、あくまで学歴による差であると考えられます。 その額の差は自治体によってまちまちですが、月額の平均で一種と二種で1~2万円の差がある自治体が多いようです。 専修免許取得者は大学院卒の修士なのでさらに高給の場合があります。
養護教諭の給料は、看護師と比較しても高給であることが分かりました。 では、勤務する学校によってはどのくらい違いがあるのでしょうか? 大学や短大はやや特殊なので、ここでは小中学校と高校、公立と私立で比較してみましょう。
総務省の「平成30年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると… 小・中学校教育職の平均給与月額は417,208円で、高等学校教育職は441,356円でその差は24,148円です。
公立学校の養護教諭の給料は公務員の規定で定められていて、自治体によって多少差がありますが同じような給与体系です。 一方私立の学校の場合も、公立学校の給与に準ずることとされているため大きな差はありません。 ただ、私立学校の場合各学校によって差があり、公務員のように勤続年数に応じて昇給していくとは限りません。 一般教諭と違い養護教諭の場合、学年主任や管理職に就くことがあまりないため、役職による手当が付きにくいのと、昇給もそれほど伸びないのではないかと考えられます。
続いては、養護教諭として働くメリットを紹介します。
地域や、公立か私立かといったことで多少の違いはあるものの、平均よりも高い給与となっています。
公立の学校の場合公務員になるので、福利厚生も充実していて社会的信頼もある安定した身分です。
土日・祝日が基本お休みで、長期の休暇もあるので年間の休日は多めで、産休や育休なども取りやすい環境です。
子どもたちの身近で、その心身の発達・成長を見守る職業である養護教諭ならではのやりがいがあります。
日勤のみで、アクシデントがなければ通常の業務が忙しいこともなく、身体的な負担は軽いと言えます。
一方、養護教諭として勤務することのデメリットもいくつかあります。
養護教諭は基本1校に1人と言う体制の学校が多く、自分の子どもが熱を出したといった場合に急に休むことが難しいようです。
離職率が低いことや少子化の影響もあり、養護教諭の募集は少なくなっています。
近年、子どもたちの精神的なケアにも重点が置かれるようになり、養護教諭も生徒たちの心の健康にも精通しなければならず、難しい対応を強いられることもあります。
公立学校の場合、定期で人事異動があり他の学校への移動を余儀なくされることがあります。
子ども好きな人にはとてもやりがいがあり、かつ給与や休日、福利厚生が厚遇されるとなれば、養護教諭が人気の高いのも頷ける話です。 看護師として医療の現場で働くことに疲れた人や、さらなるステップアップも目指す方にもおすすめの養護教諭という職種を考えてみてはいかがですか?
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