看護職のお役にたてるコラムを掲載しています。
看護には、さまざまな種類の方式が存在します。現役看護師さんであれば、それぞれの特徴が分かる方は多いでしょう。けれど、看護師を目指したばかりの看護学生さんの中には、各看護方式の特徴やメリット・デメリットなど、どのようなものであるか知らない…。あるいは、看護方式という言葉は分かるが、詳しく分かっていない…。そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか?看護方式の種類や説明などは、看護師国家試験の問題として出題されることもあるので、ここで覚えておきましょう!ここでは、4つの看護方式の意味や特徴、メリット・デメリットなどについてご紹介します。
看護方式とは、「病棟において効果的な看護を提供するために、看護師がどのような形態で活動するかを定める方法論」のことです。
(「アルメディアweb」より引用)
一人で複数人の患者を受け持つ方法(自己完結型)から、多数の看護師が複数人の患者を受け持つ方法(チームナーシングやPNSなど)へと、看護方式を変えている病院が増えてきているようです。
・看護師個人の能力差があっても、チーム全体でフォローし合える
・一定水準の看護を提供できる
・個々の成長に期待できる
→新人看護師や中途採用の看護師など、経験の浅い看護師の配置ができる
→チームに貢献しようとする意欲が高まる
・患者に対して多角的に看られるため、自分一人では気が付かなかった患者のサイン・心理などに気が付きやすい
・どんなリーダーが采配を取るかによって、チームの良し悪しが分かれる (自分勝手な人がリーダーになると、チームのスタッフがリーダーに気を使いすぎて、肝心な患者に目が行き届かなくなる可能性も)
・チームリーダーは高い能力と責任、統率力が求められるため、負担が大きい
・チーム内で常に情報共有する必要がある
・小さな変化を見逃しやすい
・患者視点…自分の担当者(看護師)が誰なのか分かりづらい
日本で多く用いられる看護方式の一つです。1人の看護師が1人の患者をみるという体制です。
24時間体制で責任をもって看護を行いますが、勤務時間外はプライマリーナースが立案した看護計画に基づいて、「アソシエナース」という別の看護師が看護にあたります。入院から退院まで責任を持って看護計画の立案、評価などを行うそうです。
そのため、看護師の主体性・専門性が発揮でき、患者さん一人ひとりに合った看護を提供できるでしょう。
1年目の新人も担当することがあるようです。その場合は、先輩看護師と一緒に患者を受け持つことが多いです。 (いきなり最初から1人で担当することはありません)適切な情報交換により、個々の能力を引き出すことが期待されています。
・1人の看護師が1人の患者を一貫して看護ができる
→患者に対して、きめ細やかなケアができる
→患者に対する責任が持てる(責任の所在が明確)
→患者と信頼関係が築きやすい
→看護能力向上に期待できる
・仕事への充実感が得られる
・看護師の能力によって、提供する看護にばらつきがある(ケアに差が出やすい)
・相性が合わない患者さんの場合、精神的に苦痛
・患者との関係が密になるため、人間関係に影響が出ることもある
・一人当たりの担当する患者数が多くなる
・看護師の責任が大きくなる
・看護師間における負担の大きさに差が出やすい
・看護師間のコミュニケーションが少なくなる
(患者の情報を共有する機会が少なくなり、情報が伝わりにくくなる)・看護師の資質や能力などに関する問題が発生しやすくなる
・他の看護方式と比べて人員を多く要する
モジュール看護体制=チームナーシング+プライマリーナーシング
日本独自の看護方式です。1つの病棟で2つ以上のチームを編成し、チームの看護師をさらに数名ずつのモジュール(単位)に振り分けて、そのモジュールで担当患者の入院から退院までの一貫したケアを行う方法です。
アメリカの看護師の人数と比べて、日本の病院に配置されている看護師数が、圧倒的に少ないという背景から生まれたそうです。患者において、重症度や介護度に偏りがないように、モジュールを決めていきます。
・看護師が患者を全体的に把握することができ、看護計画の立案・実施・評価がしやすい
・プライマリーナーシングと比べて、患者の受ける看護に偏りが少ない (リーダーが看護師の能力差をカバーできるから)
・チームナーシングと比べて、担当した患者の回復過程を一貫してみることがでいる (やりがいを感じやすい)
・患者とモジュールを受ける看護師の関係が明らか、患者との信頼関係が築ける
・看護師求められるもの…プライマリーナースとしての判断力・自立性、リーダーのサポートがあると、看護水準が保ちやすい
・看護の質を一定に保つことができる
・患者に合わせた看護計画を立てられる
・モジュールメンバーの中で協調し、看護師の成長に期待できる
・看護師の自立した能力が求められる
・看護師数や患者数の増減に対して、その都度対応していかなければならない
・他のモジュールが担当する患者の情報が入ってこない
・モジュール外の看護師と、コミュニケーションを取る機会が減る
複数の看護師が、業務ごとに係を決めてケアを行う看護方式です。 (「検温」「注射」「投薬」などの業務の内容別に割り当てられる)
看護師間のコミュニケーションが取りづらいため、この方式のみを採用する病院は少ないそうです。
チームナーシングやプライマリーナーシングなどの看護方式と、併用されているところが多いです。
・患者に対して一定の看護水準のケアを提供できる
(看護水準の一定化が図れる)
・総合的かつ継続的な看護の提供は難しい
・少人数で効率的な看護ができる
・看護師間のコミュニケーションがあまり取れない
・患者目線…看護師の入れ替わりが多く、自分の病状を誰に話していいのか分かりづらい
(自分の担当の看護師が分からない)
チームナーシング…チーム単位でケアを実践する。看護を一定レベルにする。
プライマリーナーシング…看護師と患者、マンツーマンで一貫した看護ができる。
モジュール看護体制…日本独自の看護方式。偏りのない看護を提供できる。
機能別看護方式…複数の看護師が、ケアの内容別に看護を行う。
それぞれ4つの看護方式について、理解できたでしょうか?看護方式によって、看護師(リーダー・メンバーなど)の役割やメリット・デメリットなどが異なります。良いところを生かして、マイナス面に気を付けながら、各看護方式の特徴を意識して看護を行ってみてください!
今回紹介した看護方式以外では、2人1組でケアを行う「PNS(パートナーシップ・ナーシングシステム)」があります。
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